
忘れさられているVista
当ブログでは、Windows7から10にアップグレードする方法を解説した記事が非常に人気です。
しかしWindows Vistaの存在も忘れてはいけない。

Microsoft Windows Vista(マイクロソフト ウィンドウズ ビスタ)は、マイクロソフトが2006年にリリースした、Windowsシリーズに属するパーソナルコンピューター用のオペレーティングシステム(OS)である。
2006年11月30日にボリューム ライセンス契約者へ提供が開始され、2007年1月30日に全世界で発売された。
Wikipedia Windows Vista より
https://ja.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Windows_Vista
リリースは2007年1月30日。
2017年4月11日に延長サポートが終了しました。
2021年でも使えるのか?
気になったので、実際に検証してみました。
先に結論を書くと「インターネット接続する使い方は、絶対にやめた方がいい」です。
2021年5月の世界デスクトップOSシェアでは0.25%


Statcounterの調査によると、2021年5月時点でのWindows OSのシェアは
- Windows10 : 78.89%
- Windows7 : 15.52%
- Windows8.1 : 3.44%
- Windows XP : 0.6%
- Windows Vista 0.25%
という結果でした。
サポート終了しているWindows7が、サポート中のWindows8.1の4倍以上使われています。
Windows7の人気がいかに高かったか伺えます。
Windows Vistaは全体の0.25%です。400人に1人が使っている計算になります。
Windows Vistaはどこまで使えるのか検証
検証環境:Windows Vista Business Service Pack2 64Bit(仮想環境)
それでは、Windows Vistaが2021年6月時点でどれくらい使えるか検証してゆきます。
Windows Updateができない

まず、VistaはWindows Updateが封じられています。
Windows Updateの更新プログラムを取得しても、エラー(80072EFE)が表示されて検索できません。
これは、VistaがSHA-2に対応していないためです。(7は対応)
Microsoft セキュアハッシュアルゴリズム (SHA-1)-1 の非推奨ポリシーに準拠して、Windows Updateは、2020年7月後半に SHA-1 ベースのエンドポイントを廃止します。つまり、SHA-2に更新されていない古いWindowsデバイスでは、Windows Update 経由で更新プログラムを受信できなくなります。
Windows Update SHA-1 ベースのエンドポイントは、以前の Windows デバイスで廃止されました
更新プログラムが配信されないということは、セキュリティリスクを放置することを意味します。
この時点で、インターネットに接続する使い方は非常に危険です。
Vistaをクリーンインストールすると一切Windows Updateできない状態に陥りますが、更新プログラムの手動インストールであれば可能です。
手動インストールには、Microsoft Update Catalogを使用します。
今回は検証にあたって、Vistaで使える最終バージョンのInternet Explorer 9を手動でインストールしています。
ブラウジング
Internet Explorer 9

Windows Vistaに標準搭載されているInternet Explorerのバージョンは7。
そして、Vistaにインストール可能な最終バージョンはInternet Explorer9です。
本来はWindows Updateからインストールできますが、上述の通りVistaはすでに封じられているのでMicrosoft Update Catalogから手動インストールしました。
Internet Explorer9のオフラインインストーラーをダウンロードして、手動でインストールします。

インストールが完了。

Internet Explorer内の言語が英語になるというトラブルに見舞われました。
日本語パックを適用しましたが、なぜか英語のまま。
粘れば解決しそうですが、検証は英語でも日本語でも結果は変わらないので英語のままいきます。
Bing検索
特に問題なし。

Yahoo Japan
閲覧不可能。
完全にブロックされます。

Amazon閲覧
閲覧できなくはないものの、注文は不可。
まず、サイトに入ろうとすると証明書エラーの警告が表示されます。
閲覧非推奨の警告文が出ますが、中に入って閲覧することは可能です。

Amazonのトップページはこんな感じ。

読み込みにやたら時間がかかるうえ、ところどころ表示が崩れています。
表示がままならないので、ログインも注文も現実的ではありません。
YouTube
閲覧不可能。
トップページは何も表示されません。
また、Amazon同様にこちらも証明書エラーの表示がされます。

Google Chrome

次はGoogle Chrome。
記事執筆時の2021年6月3日、世界で最も使用されているブラウザです。
Google Chromeは、2016年4月13日(米国時間)に公開されたバージョン50からWindows Vistaをサポート対象外にしています。
なので、インストール可能な最も新しいバージョンである49で検証します。

起動する度に、「Windows XPとWindows Vistaはサポートされなくなったため、このパソコンではGoogle Chromeのアップデートは受信できません」と表示されます。

Yahoo Japan
閲覧可能。
特に問題はありません。

Yahooニュースの記事閲覧も問題なし。

Internet Explorer9と比較すると、読み込み速度も良好です。
Amazon
閲覧不可
アクセスすると、「この接続ではプライバシーが保護されません」と証明書エラーによる警告画面が表示されます。

警告を無視して入った結果は以下。

何が何だか分かりません。
注文はおろか、閲覧すら満足にできません。
YouTube
閲覧不可。動作再生も不可。
まず、動画のサムネイルが表示されません。

動画を再生しようとしても、黒い画面のままで再生が始まりません。

GoogleのブラウザでGoogleのサイトを見ているわけですが、さすがに2021年までくると互換性はない模様。
FireFox

最後はFireFox。
こちらもVistaのサポートは終了していますが、これまでのブラウザと比較すると最も長くサポートされました。
Windows Vistaに対応している最後のバージョンは、2018年6月26日にリリースされた52.9.0です。

Yahoo Japan
閲覧可能。トップページ表示問題ありません。

Yahooニュースの記事表示もバッチリです。

Amazon
閲覧可能。トップページ表示問題ありません。

これまでの2ブラウザとは大きな差があります。
Google Chromeで表示された警告はありません。
商品ページも全く問題なし。

Windows Vistaでも、FireFoxならAmazonでショッピングできなくもなさそうです。
YouTube
閲覧可能。トップページ表示問題なし。

動画再生も問題ありませんでした。

しっかり音が出ますし、関連動画のサムネイルが表示されています。
Windows Vistaでインターネットブラウザを選ぶなら、FireFoxがベストという結果でした。
Opera? なんですかそれは?
Office
使用可能なものの、セキュリティリスクあり。
Vistaで使えるMicrosoft Officeのバージョン
Windows Vistaで動作するOfficeの最終バージョンはOffice 2010ですが、延長サポートが2020年10月13日に終了しています。

Word、Excel、PowerPointファイルは今まで通り作成と編集ができますが、脆弱性(ぜいじゃくせい)の修正プログラムが配信されないためセキュリティリスクは高いです。
Office2010を使い続ける危険性と対処法については、以下の記事で解説しています。
セキュリティソフトのVista対応状況
メジャーなセキュリティソフトのVista対応状況は以下の通り
Norton

ノートンのサポートページによると、Vistaはサポート対象外なもののマルウェア定義更新であれば受けられます。
お使いのノートン セキュリティソフトウェアには、LiveUpdate で最新のマルウェア定義が引き続き提供されます。
お使いのノートン セキュリティソフトウェアには、脆弱性対策の更新版と互換性対策の修正版が引き続き提供されます。
ノートン セキュリティソフトウェアの Windows XP、Windows Vista、およびWindows 7 SP0 のメンテナンスモード
https://support.norton.com/sp/ja/jp/home/current/solutions/v126160909
ただし新しい機能が提供されるのは、Windows7 Service Pack1以降です。
新規インストールはできませんでした。

ウイルスバスタークラウド

バージョン11をもって、Vistaのサポートは終了しています。
記事執筆時点最新バージョンは17です。
バージョン11のインストーラーは、以下サポートコミュニティページからダウンロードが可能です。
Vistaにはインストールできませんか? | トレンドマイクロお客様コミュニティ(2017年11月13日)
検証環境でのインストーラー起動を確認しましたが、シリアル番号の入力を求められ正常にインストール完了するかの確認はできませんでした。

ウイルスバスタークラウド バージョン11のシリアル番号をお持ちの方は、手元のVista環境でインストールが完了するか一度お試しください。
見た感じインストールできそうですが、サポートページが2017年11月と古い情報であるのと、トレンドマイクロのレスポンスは「Vistaの面倒は見れない」という姿勢が強い記述のため、過度な期待はしないほうが良さそうです。
「Windows Vista」にてウイルスバスターをご利用中何らかの不具合が発生し、原因がWindows Vista 自体に起因している場合、弊社による調査および解決することができない可能性がございます。
その際は、Windows OS のアップグレードやコンピュータ製品の買い替えをご検討いただきますようお願いいたします。
Vistaにはインストールできませんか? | トレンドマイクロお客様コミュニティ(2017年11月13日)
Microsoft Security Essentials

Microsoft謹製のセキュリティソフトです。
インストールは可能でした。


ウイルスおよびスパイウェアの定義更新ができず、インストールしても防御力が上がることはなさそうです。

まとめ
以上、Windows Vistaは2021年にどれくらい使えるかの検証結果でした。
インターネットに接続しない使い方であれば、何も問題ありません。
しかし、インターネット接続して使うとなると厳しい部分が非常に多いです。
- ブラウザならFireFoxは使えるものの、すでにサポート終了
- セキュリティソフトはウイルスバスター バージョン11なら使えそう
リリース時のパソコンの性能は今のスマートフォン・タブレットにすら大きく劣り、処理性能の部分でも非常に厳しいです。
インターネット接続させる使い方は完全に限界なので、Windows10対応のパソコンに買い換えましょう。